コーヒーとお食事

お食事の後に、ユッタリした気分で1杯のコーヒーを味わう。まさに、至福の時である。琥珀色のコーヒーの香を味わい、砂糖を入れて、クリームを入れる。そしてゆっくり掻き混ぜる。馥郁とした香が漂う。

科理が美味しければ、コーヒーも美味しい。時として、良くないコーヒーが出てくると、折角の料理の味まで台無しにして仕舞う。良い料理人がこの最後のコーヒーの味に非常にこだわる所以です。
最後のコーヒーの味が料理にマッチして、口に残っている油分や魚や肉の成分などを綺麗に洗い直し、臭みを取り去り、ほろ苦いコーヒーの味を口中に広げてくれる。料理を引立ててくれるコーヒーを作るのに神経を使っている。

食事中に白ワインを飲み、或いは赤ワインを飲んで、口を―品毎に、綺麗にして、新鮮な口で次の料理を味わう。フランス料理の心得です。
そして最後に濃い、苦いコーヒーをエスプレッソカップで味わう。コーヒーの味が口中に広がり、料理の味を包み込んでサッパリした口に仕上げてくれる。この3Occほどの液体が大きい効果を出すのです。

しかも、コーヒーは消化剤であり、精神安定剤であるのですから、最高の品と云う事になるのでしよう。
秋、冬の少しシツコイ食事の後で、わざわざ当店に来てくれるお客さんの中に、このコーヒーの味を真剣に考えて、味わいに来てくれるお客さんが大勢おられます。
食事の後のコーヒーを大切に考えて、リラックスをし、ストレスを取り去り、次の仕事の為に、大切な充電の時間を過ごしておられる様に思います。