世界のコーヒー店で

ミラノの朝、近所のコーヒー店へ朝食を食べるのに出掛ける。
バンコと云うカウンターへ立って、エスプレッソとクロワッサンで150円程度。
エスプレッソは砂糖を沢山入れて、2〜3口で呑み終える。コーヒーを済ませて、外へ出るのに4〜5分程度。
多くの通勤者が朝、バールと呼ばれる店で立ち呑みコーヒーである。

花のパリーでも良く似た感じである。
3時頃はコーヒーの入れるカウンター前で多くの人が立った儘、コーヒーを呑んでいる。これが、観光客であれば、通路のテラスに座って、外行く人を見ながらエスプレッソを呑むと、コーヒーだけで180円程度、チップが必要な時もある。

ミュンヘンの街角でも同じ様なもの。
ただカップに130ccとかグラスに230ccとかがMENUに記載されている。
不思議に思っていると、グラスにも金線が入っており、そこ迄いれると所定の量になる様です。
キチンとしたドイツの一面が出ていて面白い。世界の主たる都市でのコーヒー屋風景ですが、殆どがキャッシュと交換である。

ウイーンでは注文時に小さい紙切れに金額を書き入れて机に置いてくれる。お金を支払うとその紙片を裂いて、置いて行く。領収書などは呉れない。

総じてヨーロッパではエスプレッソが主流である。
実はお水が非常に硬度が高く、その儘では普通呑めない。
コーヒーに使っても味が非常に悪い。
石灰岩の層を水が通ってくる為に硬質になるのだそうです。従って、一旦水を蒸気にして、硬質分を取り去り、呑める水に変える必要がある。
そして高温になった水を使って、高温で瞬間的にコーヒーを抽出する。圧力を使うので最後の方に泡が沢山出来てくる。この泡が口当たりを良くしてくれる。

幸い日本では何処でもお水が美味しい。
しかも殆どの場合軟水です。お湯に沸かせて、大きいエスプレッソの様な機械を使わないでコーヒーを作る事が出来る。
非常に美味しいコーヒーを作れる。しかし、エスプレッソの様に特急では作れない。3〜5分の時が必要です。しかも、多くの量を立った儘で3分程度で呑んで出て行くと云う事にはならない。

当店で採用しているネルを使ったドリップ方式のコーヒーの淹れ方は粉の粗さを加減する事で、濃いのも軽いのも自由自在に作れる勝れた方法です。
JAPAN SYSTEMとも云えるのですが…。

大昔の事ですが、ヘレン・ケラー女史が訪日された時、ある新聞社の方が珈琲店に女史を案内されました。
彼女が「敗戦国民がなぜ此の様に美味しいコーヒーを呑むのか?」と叱責をされました。
貴重な外貨を使い、乏しい豆で最高の味を出せる様にこの方式を考え、努力して、―日に1杯のコーヒーを心から味わっているのが日本人の知恵です、と答えると納得されました。この方式で淹れる事が日本の心であり、文化であり、教養であると思います。